定年退職から11年が経ち、年金で何とか凌いではいるものの、年を取るにつれ急速に増加してきた医療費の負担が中々のものです。この医療費の中で控除が受けられるものにはどのようなものがあるのでしょうか。

その病状からみて、通常の支出とされる水準を遥かに超えなければ、以下の医療費の全額は国からの医療費控除の対象になります。

(1) 指定地域密着型介護老人福祉施設や介護療養型医療施設、介護老人保健施設、指定介護老人福祉施設、診療所、助産所、病院に入るための人的役務の提供に関わる対価
(2) 高齢者の医療に関わる法律上の特定保健指導(ある一定の積極的な支援によるものに限定されます)の中で、一定の基準に当てはまる人が支払うその本人の負担金
(3) 医師たちへの謝礼金や健康診断の費用以外の、医師や歯科医師による治療や診療の対価
(4) 療養や治療に要る医薬品の対価:健康促進や病気の予防のための医薬品の対価は医療費に含まれません。
(5) 柔道整復師やあんまマッサージ指圧師、きゅう師やはり師による施術の対価:体調を整えたり、疲れを癒すなどの治療と直截な関係のないものは医療になりません。
(6) 看護師、准看護師、保険医や特別に依頼をした者による治療上の世話の対価
(7) 助産師が行う分娩の介助の対価
(8) 介護福祉士からの一定の経管栄養と喀痰吸引の対価
(9) 介護保険制度に基づいて提供された一定の居住サービス・施設の本人の負担額
(10) 日本臓器移植ネットワークに支払う、臓器移植の斡旋に関わる患者の負担金や、骨髄移植推進財団に支払う、骨髄移植の斡旋に関わる患者の負担金
(11) 以下の費用で、医師などから行われる治療や診療、施術や分娩の介助を受けるための直接的な必須品
a.医師などによる治療や診療のための必須品である義手や義足、義歯、松葉杖などを購入するための費用
b.傷病によって大概6カ月を過ぎて寝たきりの状態になって医師から治療を受けている場合に、おむつを使用する必要があるとみなされる時のおむつ代:医師から発行された「おむつ使用証明書」が要ります。
c.医師などによる治療などを受けるための通院費、入院する時の部屋代や食事代、医師などの送迎費、コルセットなどの医療用器具などを購入するための費用やその貸借料で一般的に必要だとされるもの:通院する時の自家用車にかかるガソリン代や駐車場の料金は含まれません。

*この場合で、医療費控除の適用を受けるためには、確定申告書にその支出を証する例収書などを添えるか見せる必要があります。E-TAXで確定申告を行う場合は、領収書の提示や提出の代わりにその内容を入力して送ることも可能です。
*医療費の中には、知的・身体障害者福祉法などの定めによって都道府県や市町村に納付する費用額の中で、医師などの治療などに相当するものやa、bに当てはまる費用なども含まれます。
*おむつ代についての医療費控除の適用期間が2年目以降になる場合に、介護保険法の要介護認定を貰った一定の者は、市町村長などが交付する「おむつ使用確認書」などを「おむつ使用証明書」の代わりに使うことが可能です。

高齢者が受けられる医療費の控除対象にはどのようなものがあるのでしょうか。

特別養護老人ホームや介護老親保健施設などから受けるほとんどの施設サービスの対価が、対象になります。
具体的には、以下の通りです。
特別養護老人ホーム、すなわち指定介護老人福祉施設と指定地域密着型介護老人福祉施設の場合は、施設サービスの対価で支払った金額の1/2相当の金額が控除の対象になります。この施設サービスには、介護費はもちろん、居住費や食費が含まれています。
介護老人保健施設の場合は、施設サービスの対価の全額が控除の対象になります。
どちらの場合も、日常の生活費と特別なサービスの費用は控除の対象外となりますのでご注意ください。
高齢者のみの施設ではありませんが、指定介護療養型医療施設の場合は、介護老人保健施設の場合と同様の扱いになります。

*日常生活費は、理美容代などの日常生活に通常必要とされている費用のことで、その負担は入所者のものになるのが妥当だと思われるものをいいます。
*指定介護療養型医療施設や介護老人保健施設での特別室の使用料は、医療費の控除対象に含まれます。
*高額介護サービス費として払い戻された場合は、そのサービス費を医療費の金額から引いて医療費の控除の金額を算出します。同時に、指定地域密着型介護老人福祉施設や指定介護老人福祉施設の施設サービス費に関する本人の負担額だけに応じる高額介護サービス費に関しては、その半分相当の額数を医療費から引いて控除金額を算出することになります。

私は今年で72歳となります。今の家をバリアフリーにして暮らしやすくしたいと思うのですが、この場合適用が受けられる控除の制度にはどのようなものがあるのでしょうか。

あの住宅が2009年4月1日~2011年12月31日までの期間内に居住用として使用したなら、一定の要件を満たした上で、実際のバリアフリーの工事費用か、バリアフリーの標準的な工事費用のどちらかの少ない額数の1割相当の金額を当年度分の所得税額から控除することが可能です。これを住宅特定改修特別税額控除といい、工事の費用が住宅ローンから補充されたものでも適用ができます。なお、2011年度分でこの控除の適用の対象になったら、次の年である2012年度分に関しては適用ができないことが原則となります。

この控除の適用を受けるための要件は、以下の通りとなります。

1. 自己所有の家屋にバリアフリーの工事を行い、その工事の日から6カ月以内に居住を始め、2009年4月1日~2012年12月31日までの期間内に自分の居住用として使用していること:自己所有の住宅が2つ以上ある場合は、主な居住用の住宅に限ります。
2. この控除の適用を受ける年度分の合計所得金額が3000万円をこえないこと
3. バリアフリーの工事をする人が、居住をしている年の12月31日の時点で50歳を超えているか、所得税法上の障害者である人・介護保険法上の用支援や要介護の認定を受けた人、またはこれらの人たち及び65歳を超えている老親と同居している日本内の居住者であること。
4. 以下のどちらかに当てはまるバリアフリーの工事であること。
(1) 脱衣室や便所、浴室やそれ以外の居室や玄関とこれらを連結する経路の床が滑りにくくするための工事
(2) 介助用の車椅子での移動を容易にするための出入り口・通路の幅の拡張工事
(3) 出入り口の戸に関わる工事で、戸に戸車などの戸の開閉をしやすくする道具の設置・開戸を折戸や引戸などに替える工事・開戸のドアノブをレバーハンドル等に替える工事のどちらかであること。
(4) 階段の設置や改良をすることで、その勾配を緩やかにする工事
(5) 脱衣室や便所、浴室やそれ以外の居室や玄関とこれらを連結する廊下に手すりを付ける工事
(6) 脱衣室や便所、浴室やそれ以外の居室や玄関とこれらを連結する廊下の床の段差を無くす工事:屋外と接する開口の出入り口や上り框、浴室の出入り口の場合は、段差を小さくする工事も含まれます。
(7) 便所の改良工事の中で、座便式の便器の座高を引き上げる工事や排泄とその介助をしやすくするために便所の床面積を広げる工事、便器を座便式に替える工事の何れかに当てはまる工事
(8) 浴室の改良工事の中で、工程式の踏み台や移乗台とそれ以外の高齢者などの浴室の出入りをしやすくする設備の設置・入浴とその介助をしやすくするために便所の床面積を広げる工事・浴槽をまたぎ高さの低いものと替える工事・高齢者などの体の洗浄をしやすくする水栓器具の設置や同じ器具の取り替えの工事の何れかに当てはまるもの
5. 対象にしたいバリアフリーの工事の費用が30万円以上であること
*2011年6月30日の後に行われるバリアフリーの工事に関わる契約を結んで、その工事のことで地方公共団体や国からの補助金など・介護保険法の規定からの介護予防住宅改修費や居宅介護住宅改修費などを貰っている場合は、その補助金などの額は控除されます。
6.工事を行った後の対象住宅の床面積が50㎡を超え、床面積の半分を超える部分が工事を行った人本人の居住用としてつかわれていること
*ここでの床面積は、基本的に登記簿に記載されている床面積で判定します。ただし、事務所や店舗などと並行して使われている住宅の場合はその事務所や店舗などの部分を入れた建物全体の床面積によることとなり、マンションの場合は共用の部分の床面積は入れず、登記簿での専有部分で判断します。また、親子や夫婦などとの共有住宅の場合は、その共有持ち分を入れた建物全体の床面積で判断します。
7.全体の工事費用の半分を超える金額が工事を行う本人の居住用の部分の工事費用であること

この特別税額控除の額数は、バリアフリーの工事の実際の費用か、バリアフリーの工事の標準的な費用の何れかの少ない金額の1割となります。2012年度分は最高150万円で、2009年度分~2011年度分までのものは最高200万円が限度になります。
この費用からも、国や地方公共団体からの補助金などや介護予防住宅改修費、居宅介護住宅改修費の金額は控除することになります。

この特別税額控除を受けるためには、必須事項を書き記した確定申告書と共に以下の書類を添えて管轄税務署長宛てに提出してください。

1.給与所得が生じている場合は、その給与所得の源泉徴収票
2.住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
3.介護保険の被保険者証のコピー:要支援・要介護の認定を受けている人やこれらの人と同居する親族がバリアフリーの工事をした場合に限られます。
4.住民票のコピー:要支援・要介護の認定を受けている人や障害者、65歳を超える親族と一緒に住んでいる人の場合は、その同居している親族も記載されているもの
5. 工事請負契約書のコピーなどの改修工事の年月日・その費用金額が明確にされている書類:2011年以降にバリアフリーの工事に関わる補助金を受けた場合は、その補助金などの額数を証明する書類の添付も必要です。
6.増改築など工事証明書
7.家屋の床面積が50㎡を超えることが明確にされている登記事項証明書などの書類

この控除を受ける際に、特定増改築など住宅借入など特別控除や住宅借入金など特別控除の適用の条件もすべて満足させている場合は、これらの控除の中で1つを選ぶことになります。この選択はその後の期間も選択を替えて他の控除の適用を受けることはできませんので、注意が必要です。

住宅ローンを利用して、高齢者が暮らしやすくするためのバリアフリーの改修工事をしようと思います。この場合の控除にはどのようなものがあるのでしょうか。

高齢者である本人の暮らしている家を、住宅ローンを使ってバリアフリーの改修工事をする場合は、ある一定の要件を満足させて、その増改築などに関わる住宅ローンなどの年末残高の合計から計算した金額を、居住用として使った年度分の後の各年度分の所得税額から控除することが可能です。
以下はこの控除の対象になるための要件です。この要件をすべて満足させる必要があります。

1. 自己所有の家屋に関して、特定のバリアフリーの改修工事が含まれる増改築などと行い、2007年の4月1日から2013年12月31日までの期間内に自己居住用として使っていること
*ここでの「特定のバリアフリーの改修工事」とは下の条件を全て満足させる工事のことです。
(1)バリアフリーの改修工事をする人が、50歳を超える人か、所得税法の定め上、障害者となる人か、介護保険法からの定めによる要支援・要介護の認定を受けた人か、これらの項目に当てはまる65歳以上の親族である人のどちらかに該当すること。
(2)高齢者などの自立ができる日常生活のための設備や構造の基準に合わせるための模様替えや修繕で、介助用の車椅子での移動が容易にできるための出入り口や通路の幅を広げる工事か、出入り口の戸に関して、開戸を折戸等か引戸などに替える・開戸のドアノブをレバーハンドルなどに替える・戸に戸車やその他の戸の開閉をしやすくする器具の設置などの工事か、階段の改良・設置が含まれる増改築などであることや、脱衣室、浴室、便所やその他の玄関や居室とこれらをつなげる経路に手すりを付ける工事か、浴室の改良の際に入浴やその介助をしやすくするために浴室の床面積を広くする・高齢者などの身体の洗浄をしやすくする推薦器具の設置や同器具へと変える・浴槽をまたぎ高さの低いものへと変える・固定式の移乗台や踏み台などの高齢者の浴槽の出入りをしやすく設備の設置などの工事か、便所の改良工事の中で、座便式の便器の座高を高くさせる・排泄などの介助をしやすくするために便所の床面積の拡張・便器を座便式のものに替える工事か、脱衣室や便所、浴室とそれ以外の玄関とこれらをつなげる経路の床の段差を解消したり、床の材料を滑りにくしものと替える工事のどちらかの一つに該当するものであることも重要です。

2. 対象のバリアフリーの改修工事をの費用が30万円以上のものであること。
3. この控除の対象になる年度分の合計所得金額が3000万円を超えないこと。
4. このような工事を始めた日から6カ月以内に居住用として使い、適用年の12月31日まで継続して居住をしていること
5. バリアフリーの改修工事以降の住宅の床面積が50㎡を超え、床面積の1/2を超える部分が自分の居住用だけとして使われているものであること
6. その工事に使用された金額の1/2の超える額数が自分の居住用の部分の工事に使われたこと
7. 居住用として使われた年とその前後の2年間ずつの合計5年間内に居住用財産の譲渡を行った場合、長期譲渡所得課税の特例の対象になっていないこと。
8. バリアフリーの改修工事のために、5年以上に渡って分割返済を行うことになった債務や借入金などがあること:ここでの債務や借入金は、建設業者や地方住宅供給公社、独立行政法人都市再生機構からの債務と独立行政法人住宅金融支援機構や金融機関、勤務先などからの借入金などになります。しかし勤務先からの借入金の中で無利息や利率が1%を下回るものは特別控除の対象になりません。

このような要件を満たした上で、適用が受けられる控除の期間が5年です。
控除額は、[増改築の合計の金額(居住用の部分の工事費だけ)の中で、バリアフリーの改修工事の費用相当の金額(200万円の制限有)X2%+(増改築の合計の金額‐バリアフリーの改修工事の費用相当の金額)X1%]の計算式で算出されます。
*バリアフリーの改修工事の費用は、居住介護住宅改修費、地方公共団体からの補助金、介護予防住宅改修費などを貰っていたらその金額を引いた費用となります。

この控除を受けるためには、必須事項を書いた確定申告に、以下の書類を添えて納税地の管轄税務署長宛てに出してください。
1. 住宅借入金など特別控除額の計算明細書
2. 住民票のコピー
3. 住宅取得資金などに関わる借入金の年末残高など証明書
4. 増改築などに必要であった費用・増改築を行った年月日、対象家屋の床面積が50㎡を超えることが明確にされている家屋の登記事項証明書や請負契約書などのコピー
5. 増改築などの工事証明書
6. 敷地を先行して獲得する場合に、敷地を購入した年月日と対価の額数が明確にされている売買契約書や敷地の登記事項証明書と、建築条件付きの場合は土地の分譲に関わる契約書などで、契約してから一定期間内に行われる建築条件が明確にされている書類のコピー、そして家屋の増改築などの開始日の前の2年以内に買い入れた敷地の場合は金融機関などから家屋に抵当権を設定していることが明確になっている家屋の登記事項証明書や、譲渡の条件に基づいて一定の期間内に家屋が建てられたことをその譲渡対価に関わる債権を持っている人が確認したということを証明する書類
7. 給与所得がある場合は、給与所得の源泉徴収票
8. 介護保険の被保険者証のコピー:要支援・要介護の認定を受けた人やこのような人と同居している親族から行われるバリアフリーの改修工事の場合に限られます。

この控除は、住宅特定改修特別税額控除・増改築などを行った場合の住宅借入金など特別控除のどちらかの適用の要件を満足されている場合は、どちらかの一つを選んで適用することになります。この選択は後で変更することができませんので注意が必要です。

高齢者の医療制度に関する控除の支払いの方法について教えて下さい。

高齢者の医療費に関わる控除には、2種類があります。一つは後期高齢者の医療制度の保険料に関わる控除で、居住者が年ごとに、自分や自分と生計を一つにする配偶者とその他の親戚に負担がかかる社会保険料を支払った場合に、ぞの支払者に社会保険料の控除ができることとなります。
2008年4月から、実施されている後期高齢者医療制度では、その保険料が年金から特別徴収される方法で納付することが原則となります。この場合、その保険料の支払者は年金の受給者本人であり、その年金の受給者にはこの控除の適用ができます。
その反面、2009年4月の後からの保険料に関しては、市区町村などに特定の手続きをすることで、年金からの特別徴収の代わりに、講座の振替の方法を選ぶことができます。この場合は、講座の振替でその保険料を出した人(被保険者や被保険者と生計を一つにしている配偶者とその他の親族に限る)に社会保険の控除の対象になります。