住宅ローンを利用して、高齢者が暮らしやすくするためのバリアフリーの改修工事をしようと思います。この場合の控除にはどのようなものがあるのでしょうか。

よくわかる税金

高齢者である本人の暮らしている家を、住宅ローンを使ってバリアフリーの改修工事をする場合は、ある一定の要件を満足させて、その増改築などに関わる住宅ローンなどの年末残高の合計から計算した金額を、居住用として使った年度分の後の各年度分の所得税額から控除することが可能です。
以下はこの控除の対象になるための要件です。この要件をすべて満足させる必要があります。

1. 自己所有の家屋に関して、特定のバリアフリーの改修工事が含まれる増改築などと行い、2007年の4月1日から2013年12月31日までの期間内に自己居住用として使っていること
*ここでの「特定のバリアフリーの改修工事」とは下の条件を全て満足させる工事のことです。
(1)バリアフリーの改修工事をする人が、50歳を超える人か、所得税法の定め上、障害者となる人か、介護保険法からの定めによる要支援・要介護の認定を受けた人か、これらの項目に当てはまる65歳以上の親族である人のどちらかに該当すること。
(2)高齢者などの自立ができる日常生活のための設備や構造の基準に合わせるための模様替えや修繕で、介助用の車椅子での移動が容易にできるための出入り口や通路の幅を広げる工事か、出入り口の戸に関して、開戸を折戸等か引戸などに替える・開戸のドアノブをレバーハンドルなどに替える・戸に戸車やその他の戸の開閉をしやすくする器具の設置などの工事か、階段の改良・設置が含まれる増改築などであることや、脱衣室、浴室、便所やその他の玄関や居室とこれらをつなげる経路に手すりを付ける工事か、浴室の改良の際に入浴やその介助をしやすくするために浴室の床面積を広くする・高齢者などの身体の洗浄をしやすくする推薦器具の設置や同器具へと変える・浴槽をまたぎ高さの低いものへと変える・固定式の移乗台や踏み台などの高齢者の浴槽の出入りをしやすく設備の設置などの工事か、便所の改良工事の中で、座便式の便器の座高を高くさせる・排泄などの介助をしやすくするために便所の床面積の拡張・便器を座便式のものに替える工事か、脱衣室や便所、浴室とそれ以外の玄関とこれらをつなげる経路の床の段差を解消したり、床の材料を滑りにくしものと替える工事のどちらかの一つに該当するものであることも重要です。

2. 対象のバリアフリーの改修工事をの費用が30万円以上のものであること。
3. この控除の対象になる年度分の合計所得金額が3000万円を超えないこと。
4. このような工事を始めた日から6カ月以内に居住用として使い、適用年の12月31日まで継続して居住をしていること
5. バリアフリーの改修工事以降の住宅の床面積が50㎡を超え、床面積の1/2を超える部分が自分の居住用だけとして使われているものであること
6. その工事に使用された金額の1/2の超える額数が自分の居住用の部分の工事に使われたこと
7. 居住用として使われた年とその前後の2年間ずつの合計5年間内に居住用財産の譲渡を行った場合、長期譲渡所得課税の特例の対象になっていないこと。
8. バリアフリーの改修工事のために、5年以上に渡って分割返済を行うことになった債務や借入金などがあること:ここでの債務や借入金は、建設業者や地方住宅供給公社、独立行政法人都市再生機構からの債務と独立行政法人住宅金融支援機構や金融機関、勤務先などからの借入金などになります。しかし勤務先からの借入金の中で無利息や利率が1%を下回るものは特別控除の対象になりません。

このような要件を満たした上で、適用が受けられる控除の期間が5年です。
控除額は、[増改築の合計の金額(居住用の部分の工事費だけ)の中で、バリアフリーの改修工事の費用相当の金額(200万円の制限有)X2%+(増改築の合計の金額‐バリアフリーの改修工事の費用相当の金額)X1%]の計算式で算出されます。
*バリアフリーの改修工事の費用は、居住介護住宅改修費、地方公共団体からの補助金、介護予防住宅改修費などを貰っていたらその金額を引いた費用となります。

この控除を受けるためには、必須事項を書いた確定申告に、以下の書類を添えて納税地の管轄税務署長宛てに出してください。
1. 住宅借入金など特別控除額の計算明細書
2. 住民票のコピー
3. 住宅取得資金などに関わる借入金の年末残高など証明書
4. 増改築などに必要であった費用・増改築を行った年月日、対象家屋の床面積が50㎡を超えることが明確にされている家屋の登記事項証明書や請負契約書などのコピー
5. 増改築などの工事証明書
6. 敷地を先行して獲得する場合に、敷地を購入した年月日と対価の額数が明確にされている売買契約書や敷地の登記事項証明書と、建築条件付きの場合は土地の分譲に関わる契約書などで、契約してから一定期間内に行われる建築条件が明確にされている書類のコピー、そして家屋の増改築などの開始日の前の2年以内に買い入れた敷地の場合は金融機関などから家屋に抵当権を設定していることが明確になっている家屋の登記事項証明書や、譲渡の条件に基づいて一定の期間内に家屋が建てられたことをその譲渡対価に関わる債権を持っている人が確認したということを証明する書類
7. 給与所得がある場合は、給与所得の源泉徴収票
8. 介護保険の被保険者証のコピー:要支援・要介護の認定を受けた人やこのような人と同居している親族から行われるバリアフリーの改修工事の場合に限られます。

この控除は、住宅特定改修特別税額控除・増改築などを行った場合の住宅借入金など特別控除のどちらかの適用の要件を満足されている場合は、どちらかの一つを選んで適用することになります。この選択は後で変更することができませんので注意が必要です。